高周波加熱とは?(VOL-7)



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◇◇◇◇◇◇VOL-8「高周波誘導加熱の原理(その6)」◇◇◇◇◇◇

今回から、3回にわけて、加熱コイルの種類とその加熱のパターンについて説明します。

ホームページ:http://www.eguchi-hf.co.jp.

高周波加熱において、被加熱導体(金属)のどの部分が加熱されるかは、どの部分に電流が流れるかで決まります。

被加熱導体の電流の流れ方は、大きく二つのケースを考えておくと、後は、その応用になると思います。

一つ目のケースは、加熱コイルに流れる高周波電流で作られる磁界が、被加熱金属を貫通する場合です。 加熱コイルによる磁界は、被加熱導体の軸に平行な方向に発生するため、これを貫通します。

円柱状の被加熱導体には、図8-1で濃い線で表現しているように、その外周を電流が流れ、外周が加熱されることになります。


図8-1「ソレノイドコイルによる円柱状導体の電流の流れ方」

同様に、図8-2に示すような、直方体(或いは板状)の被加熱金属の場合も、濃い線で表現するように、その外周を電流が流れ、外周部分が加熱されます。


図8-2「ソレノイドコイルによる直方体(板状)導体の電流の流れ方」

それでは、図8-3に示すように、円柱状導体の一部が欠けた(スリットが入った)形状の場合は、電流は、どう流れるのでしょうか?


図8-3「円柱の一部が欠けた被加熱導体」

ご推察のとおり、この場合、図8-4のように欠けた部分に沿って、あくまでも外周を取り囲むように、電流が流れます。


図8-4「円柱の一部が欠けた被加熱導体」

以上が、被加熱導体を磁界が貫通する場合の導体内の電流の流れ方です。

もう一つの重要な、被加熱金属内の電流の流れ方は、図8-5のように、加熱コイルの磁界が、被加熱導体の一部を通る場合です。

次回以降で述べますが、IH炊飯釜が、このようなケースとなります。


図8-5「加熱コイルの作る磁界が被加熱導体の一部を通る場合」

図8-5の磁界によって、被加熱導体に流れる電流は、図8-6の濃いハッチング部分に集中し、この部分が加熱されます。
図では、平面状の板などが被加熱導体として考えられます。
平面だけでなく、円周の一部でも同様の電流の流れとなります。


図8-6「加熱コイルの作る磁界が被加熱導体の一部を通る場合の電流」

なお、1本の加熱コイル導体だけでなく、図8-7のように2本が並んで配置された場合、それぞれのコイルによる電流が重ね合ったような、電流の分布となります。


図8-7「2本の加熱コイルによる平面状被加熱導体に流れる電流」

次回、次々回と、加熱コイルの種類と加熱のパターンについて、続けます。




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